今回の記事では、以前から取り上げたかったFreenom(フリーノムと読む?)について紹介したいと思います。
ドメインはインターネットの世界における番地登録のようなもので、通常は年単位で有料の契約を行って取得するものです。
日本国内でも国外でも優良なドメイン提供業者は多数存在します。
そのいずれもが有料契約を経たものであり、間違いのないサービスを提供してくれるものでもあります。
「ドメイン=有料」が常識な身からすると・・「ドメインが無料なんてことあるの?」とか「信頼性は?」などと疑問が浮かんできますよね。
今回はそんなFreenomのサービス概要と、実際のドメインの取得や設定の方法をご紹介します。
Freenomは無料ドメインプロバイダ
Freenomはオランダに本拠を置く、無料をベースとしたドメインのプロバイダです。
日本国外の業者ですが、Webサイトは日本語にも対応しています。
ただ、アカウント取得後に入っていくマイページ(Freenomでは「Client Area」と表現しています)では、英語表記になっていきます。
とはいえ、英語が分からないよ! という方でもドメイン(Domain)や期限(Expire Date)など基本的な単語さえ理解しておけば、使うには差し支えないはずです。
Freenomはどんなときに登録&使用する?
Freenomの登録について知りたいと思った方のほとんどは、以下のような目的で無料ドメインを取得しようと考えるのではないでしょうか。
1) 暫定的な用途のWebサイト、メールなどのサーバを立てたい
2) テストやプレビュー用のWebサイト用途の独自ドメインが欲しい
3) ドメインを購入前の段階でドメインの設定練習がしたい
3)の用途の人はあまりいないかもしれませんが、実務でドメインに関する知識が乏しい人に対してネームサーバの設定を教えるときに、試しに登録して使わせてもらったことはあります。
というように、1-3を見てもらえば分かるのですが、恒久的に使っていきたいドメインの用途ではありません。
Freenomの無料ドメインは、「暫定」という枕詞がついてまわるドメインの用途に限って、取得するものではないかと思います。
Freenomでどんな無料ドメインが取得できる?
ドメインというと思い浮かべるのは「.com」、「.co.jp」、「.jp」といったところですが、これらはすべて有料契約対象のドメインです。
参考までに「.com」ドメインなら お名前.com では1,480円/年、「.jp」なら3,140/年(いずれも通常時)という料金体系になっています。
「.com」なら何とか、となっても「.co.jp」のように同4,60円/年にまでなると、いきなりの取得には二の足を踏まないこともないかもしれませんね。
Freenomでは5種類の無料ドメインが取得可能
Freenomで取得可能なドメインの種類は、以下の5つとなります。
いずれも無償公開の形でドメインを提供しています(こちらも以降もアリガタヤm(_ _)m)。
.tkドメイン
国別コードトップレベルドメインで、ニュージーランド領トケラウに割り当てられているドメインです。
このドメインは国・地域別で最多級のドメインが存在しています。
.mlドメイン
こちらも国別コードトップレベルドメインで、マリ共和国に割り当てられているものです。
.ga ドメイン
これは旧フランス領のガボン共和国に割り当てられた国別コードトップレベルドメインです。
同じく世界中で使えるよう開放されています。
.cfドメイン
これも国別コードトップレベルドメインで、中央アフリカ共和国に割り当てられています。
調べて分かりましたが、正常不安定なのか・・。
.gqドメイン
こちらは赤道ギニアに割り当てられた国別コードトップレベルドメインです。
そういえば、こんな名称のライフスタイルマガジンがありますな。
ケチケチな私とは、縁遠い感がハンパない存在ですガ(・∀・)。
無料では取得不可能なドメイン名称がある
上記の5つに、自分の好きな文字列を組み合わせてドメインは取得するものですが、Freenomでは無料取得に関する一定のルールがあります。
辞書に登録されている一般的な単語、3文字以下のドメインについては上記無料対象のドメインなどは有料対象となっています。
具体的には、というのはやってみないと分かりません。
そういうルールもあると頭に留め置いた上で、取得を試みてください。
Freenomで取得するドメインの有効性
Freenomで取得したドメインは他の有料ドメインと同様な使い方ができます。
契約期間が存在するのも有料ドメインと一緒ですが、契約期間が1-12カ月の間で選択が可能です。
ドメイン使用期限15日前から更新可能
Freenomの無料ドメイン期限を迎えるに際しては、更新作業が必要となります。
無料ドメインについては、期限の15日前から更新が可能になります。
この期限を忘れてしまうと・・失効となってしまうので気をつけましょう。
突然使用不能になってしまう事象に注意
このあたりは無料がゆえのデメリットなのですが・・
突然、ことわりもなくドメインが使用不可になってしまうことがあるようです。
私自身は経験ないのですが、幾つかそういったケースを目にします。
上記FreenomのFAQリンク内にもあるように、違法・非道徳的コンテンツ公開や迷惑メールの配信元となっていたり、無料登録したドメインを有料ユーザが契約したといった理由が考えられますが、具体的なケースについてはFAQから推し量るしかありません。
一時的にネームサーバが効かなくなることも
Freenomはかれこれ5年ほど利用させてもらっていますが、2020年の末頃と2021年の10月頃に数日間だけFreenomで取得した無料ドメインが使用不能になったことがあります。
サーバの何らかの不調に起因するものかFreenom側の何らかの問題だったのか不明ですが、このときだけ使用不能になったことがあります。
他にも気づかないだけであったのかもしれませんが、まあ無料なこともあるので不平を述べるほどでもなく、それだけの期間でトラブルが2回だけならいいという見方もできます。
トラブルを深堀りして考えてみると・・
Freenomにはこんな情報もあります。
Gigazineが取り上げたニュースという体で、真偽のほどは分かりませんが詐欺(?)疑惑の記事内容です。
記事の元となるユーザの主張では、結構断定的に詐欺まがいのサービスということで報じてはいます。
無料サービスに多くを期待するのは無理筋
しかしながら、出発点が無料なのに有料相当のサービス内容を求めているので、正直微妙な主張と考えられないこともありません。
このあたりを要約すると・・
無料ドメインでアクセスが増えてきたらロックする → 売りに出される → 戻すには料金を払う
ということ(でもない?)のようです。まあ実際、そうなのかもしれませんが。
クレームをつけている人の気持は分かるものの、そもそも無料なのに多くを期待するのは無理筋といえるかもしれません。
無料であるリスクを踏まえて使用する
Googleを筆頭にMSN、Yahoo!など無料で十分すぎる恩恵が得られるサービスは、特別なものとして捉えるべきです。
無料で広告のないサービスを利用して(リソースが続く範囲内で)恒久的な見返りを求めるのは無理があります。
スマホアプリなんかもそうですが、どういう仕組みに基づいて無料で提供されているのか理解すべきでしょう。
すべてに当てはまるとはいえませんが、無料サービスを盲目的に信用してはいけないし、慎重かつ周到に活用範囲を見極めた上で利用するべきです。
Freenomというサービスは、無料でもあり半ば恒久的に恩恵を受ける保証があるものではないと、捉えた方がいいということです。
無料であるリスクは確実に存在しますので、ここを踏まえた上で使わせてもらうのに越したことはありません。
Freenomで無料ドメインを登録する
・・なんだか否定的なことを書き連ねてはいますが、使い道を誤らなければ有用なサービスです。
ここからは、Freenomでアカウント作成&無料ドメインを登録する手順をご紹介します。
手順1. Freenomのアカウントを作成する
まずはFreenomの公式サイト(日本語版)へアクセスしてください。
ずっと以前は ドメインを検索 → 入手 → アカウント登録 という流れで、無料ドメインを取得することができました。
Freenomアカウントを取得→無料ドメイン登録
しかし現在はアカウントを取得してから、Freenomの無料ドメインを取得するようです。
参考までにお試しでサインイン(アカウントログイン)前に取得してみようとしました。
画面上の右方面で存在しない紫色でハイライトしてあるように、利用不可となっています。
ソーシャルログインかメールアドレスで登録
登録の細かいところは省略しますが、ソーシャルアカウントかメールアドレスでの登録となります。
ソーシャルアカウントの内訳はGoogle、Facebookのいずれかになります。
先に脅した(?)ので不安な方向けに付け加えますと、捨てアカウントか捨てメールアドレスを使われることをおすすめします。
個人情報を晒さないという考え方に基づけば、Facebookのアカウントは使わない方がいいのかもしれません。
私の場合、Googleの捨てアカウントを使って登録しています。
ちなみにですが、同じく捨てメールアドレスで登録したこともありますが、スパムが増えたとかはあったのかもしれませんが、目に見えて殺到したようなことはありませんでした。
手順2. 取得したいドメイン登録の可否を検索
アカウントが作成できたら、下記のような画面になることと思います。
上部のメニューの「Services(サービスメニュー)」から「Register a New Domain(新しいドメインを登録)」を選択(クリック)してください。
そうすると以下のような画面に遷移するので、登録希望のドメインに空きがあるか調べましょう。
英語で表示されることもあるので、その際は画面右上にある「English」を「日本語」に変更してください。
好きな文字列を入れて利用状況をチェック
白い検索窓に、好きな文字列を入れて「Check Availability(利用可能状況をチェック)」を選択します。
今回は「kechikechimacer(=ケチケチマカー)」というドメインが登録可能か検索してみました。
検索窓に「kechikechimacer」という文字列を入力して「Check Availability」のボタンをクリック。
すると、検索結果が表示されます。
手順3. 取得したいドメインを選択する
表示された検索結果が下の画像になります。
「kechikechimacer」という文字列に対しては、5つの無料対象ドメインのいずれもが取得可能であることが分かります。
kechikechimacer.tk
kechikechimacer.ml
kechikechimacer.ga
kechikechimacer.cf
kechikechimacer.gq
「.tk」 「.ml」 「.ga」 「.cf」 「.gq」 の無料対象5ドメインの右側に緑色の「Selected」ボタンがあります。
ここでこのボタンをボタンを押します。
Checkoutから契約期間を選択
その次に「Checkout」ボタンをクリックすると、下記の画面になります。
プルダウンメニューから、12カ月@無料の項目を選択して、確定します。
ドメインの取得を完了する
「Price(価格)」が0$になっています。
下の左部分(=内容確認完了)にチェックを入れて「Complete Order(注文を確定)」ボタンを押してください。
これで無料ドメインの取得は完了です。
手順4. ドメインの転送先を設定する
続いて実際のドメインを使うために、DNSを設定します。
ここでは最も一般的なドメインの設定として、レンタルサーバーに関するネームサーバーの設定を行います。
例に取るレンタルサーバは エックスサーバーです 。
エックスサーバーのネームサーバー値を管理画面(クライアントエリア)から設定します。
マイドメインからマネージメント・ツールへ
クライアントエリアの「Services」から「My Domains」を選択してください。
すると以下のような画面になります。
ここで欄右側の「Management Domains(ドメインを操作する)」をクリックします。
「Management Tools」のタブから「Name Servers」を選択
画面が遷移するので、下画像のように「Management Tools(操作ツール)」のタブから「Name Servers(ネームサーバー)」を選択します。
対象レンタルサーバに対するネームサーバーを設定
ネームサーバーを入力する画面に遷移します。
ここで各レンタルサーバ会社が提供するネームサーバー情報を適宜入力します。
エックスサーバーでは5項目あるので、すべて入力しましょう。
入力を終えたら下にある「Change Name Server」ボタンを押しせば、設定完了です。
設定完了画面で「Active」の状態を確認する
画面が状態の確認画面へ遷移します
この画面で「Active(有効)」であることを確認したら、設定は完了です。
Freenomのクライアントエリアからの設定は、以上で終了です。
サーバー側でもドメインの設定を
この後はレンタルサーバ側で、自分が設定して振り向けたドメイン(=ここでは「kechikechimacer.tk)を設定してください。
エックスサーバーの場合、サーバーパネルから「ドメイン設定」で「ドメイン設定追加」を行っていきましょう。
Freenom で登録したドメインのWhois情報について
Freenomで登録したドメインのWhois情報については、無料で提供されているという状況から推し量れるように、登録母体はFreenomのままです(ある意味当然 ^^; )。
厳密に言わなくてもですが、Freenomでは所有権を手放してはいません。
一時的な利用権のみ貸し出しているだけ、といったところでしょうか。
Freenomのおすすめの使い方
Freenom はドメインを無料提供してくれるのですが、一方で不安定(あるいは意図的にもたらされた不安定?)なサービスでもあります。
無料であることの意味を理解しつつテストや暫定的な使用に限っていけば、有用なサービスなのではないでしょうか。
おすすめの使い方を以下にまとめますので、肝に命じて(?)使うようになさってください。
Freenomおすすめの使い方=まとめ
結論になりますが、Freenomのおすすめの使い方をまとめると下記のようになります。
・テストや暫定的な用途に限る
・無料=自分の自由にならない
・Freenomはあくまで、ちょいドメインである
自身で使えて便利だなと感じているのは、とくにWordpressの引っ越しをするときで作成中や改修中のサイトを、顧客や共同作業中の人に見せるときです。
ドメインを一時的にテスト環境に振り向けて、WordpressサイトをAll in One Migrationと併用して見せると、本当に短時間で「お見せする」環境ができてしまいます。
ドメインをずっと使うなら有料契約すべき
しっかりと動作するドメインが必要ならば、以下に挙げる国内のドメイン業者で取得するのが好ましいはずです。
私は複数のドメインを所有していますが、契約条件が悪くなることもあったので下記の有料ドメインプロバイダと分散して契約しています。
いずれのサービスもアカウント登録自体は無料で、取得ドメインの契約ごとに料金が発生していきます。
たかが1,000円台などとは言いませんが、ずっと使うドメインであれば契約中は一定の保証がある有料ドメインを、一年以上で契約していくのが吉です。
おすすめの国内ドメインプロバイダ(有料)
ドメインプロバイダ | おすすめ順(既知&使用経験あり)/プロフィール |
---|---|
お名前.com | 日本の定番。初めてのドメイン登録はここが無難。メルマガが多いので配信設定は変更を。 |
スタードメイン | ネットオウルが提供。シンプルで、ある程度分かっている人にはおすすめ。 |
バリュードメイン | コアサーバーやXREAなどと連携。初心者にはやや設定が難しいかも。中上級者向け。 |
ムームードメイン | ロリポップサーバーと連携。同サーバと接続するなら設定は比較的かんたん。 |
Xserverドメイン | エックスサーバーと連携。サーバー契約中はドメイン無料の仕組みもあるにはある。 |
その他 | 契約するサーバ会社でもドメインをセットで登録可能ですが、それぞれは別契約を推奨します。 |
今回はFreenomの概要と設定&登録方法をご紹介しました。
無料であるがゆえに、思うように運用できない部分が大きくて、ライトユース=一定以上の用途にはおすすめできないというのが本稿の結論です。
とはいえ、一時的なサーバの引っ越しやテスト環境などで仮の環境が必要なときには、非常に有用なサービスともいえます。
「無料」のサービスであることは常に頭に入れた上で、間借りもしくは短期間レンタルという意識で役立ててはいかがでしょうか。
(了)