Appleが新型=第二世代iPhone SEを発表しました。
タイトルにもありますが、旧態然とした4.7インチディスプレイに最新のA3 Bionicチップセットという、いささか変わった取り合わせの商品構成となっています。
カラーバリエーションはブラック/ホワイト/Product Red(要するに赤色)の3つという構成です。

プロセッサが最新のiPhone11と同等なのに、税抜き44,800円からという低価格を実現。
税込みにしてもエントリーモデルとなる64GBのストレージであれば、50,000円以下という最近までの高級化路線から方針を転換したかのような価格設定ですね。
最新チップセットなのに低価格なのは主にディスプレイサイズやカメラなど、主要なハード面でグレードを下げているからでしょう。
新型MacBook Airに引き続き、コストパフォーマンスの高い商品といえそうです。
これもバリッと売れるだろうなぁ・・。

ディスプレイとボディはiPhone6-8と同等サイズ
新iPhone SEのディスプレイサイズは、iPhone6からiPhone8(非Plusサイズ)へと続く4.7インチサイズになりました。
iPhone8と同サイズと聞いたらiPhone SE Plusもあるんじゃ・・などと淡い期待をしましたが、エントリー撒き餌コンセプトに違いないiPhone SEには、Plusの設定がありませんでした。
\(^o^)/ ソリャソーダロー
同じハードウエアを引き継ぐので、コスト面の恩恵が大いに生じたというところでしょう。
ボディサイズが同等ということは、iPhone6(と6S)、7、8系のユーザは(あまりないかもしれないけど)使い慣れたケースを使うとか、ケースが探しやすいことと思います。
マスク着用必須時代のロック解除はFace IDよりTouch ID
偶然なのか図ってなのか分かりませんが(というか明らかに前者ですが)、新iPhone SEはCOVID-19=新型コロナウイルス蔓延のこの時代にピッタリの仕様となっています。
それはコスト低減の産物であるTouch ID。
最近、マスクをするのがほぼ必須な状況になってから、Face IDが効きづらくなっているということを巷でよく耳にします。
Face IDは非常に便利な機能なのですが、メガネをかけている顔認証のスマホユーザにとって結構つらい時期になっています。
Face IDの場合、顔認証のパターンは2つまで。
iPhone XSユーザでメガネをかけている私の場合、顔認証はメガネ装着時と非装着時の2パターンをFace IDに登録しています。
そう、ここにマスク装着したときのパターンまでは登録できないんですよね。
最近のように日常的にマスクをしているような最近の状況では、持ち上げても顔認証が通らないのでもっぱらデフォルト仕様の6ケタ暗証番号を入れてロック解除しています。
かつてYouTuberで外出時マスク着用必須のHikakin(ヒカキン)さんが、買ったばかりのiPhone XをiPhone8に戻した動画を見たときには、自分にはそんなことないだろうなと思っていたものですが、わずか二年後に同じ問題に当たるとは・・。
もっとも、マスク着用時の顔認証でのロック解除には、ちょっとしたテクがあるようです。
私も自然に発見したのですが、鼻にかかったマスクをてっぺんから下へずらすと顔認証が通ることがあります。
ただ「通ることがある」だけなので確実とは言えません。
そんな方というのか、多くのマスク着用者に指紋認証という福音(?)をもたらしてくれるのかもしれません。
充電&データコネクションはiPhone8を継承したLightningケーブル
これは残念ポイントというか旧スキーム踏襲モデルなら当然のことなのですが、充電とデータコネクションのケーブルは、Lightningケーブルのままになりました。
いやー、iPhone5の頃からLightningケーブルが本当にダメで。
とくに耐久面で純正ケーブルの品質の低さには、ストレスを覚えまくりです。
こういうところにストレスを感じるタイプなので、iPhoneを購入したら最初から下記のようなサードパーティ製Apple MFi認証を専用に一本購入して、純正はバックアップとしてしまっておくようにしています。
私の場合、Apple MFi認証のある巻取りタイプのAmazon製Ligtningケーブルをずっと使っています。
家族ともども数本を使っていますが、被膜破れがなく何年か使っていても断線が発生していません。
こういうガジェットは、外出時に一つ小型バッテリーと一緒にカバンに入れておくと、精神衛生上も好ましいですよね(^^)シンパイショー
この巻取り式ケーブルは本当に使えるガジェットなのですが、ときどき欠品というのか販売されないことがあるので、見つけられたら購入されておくことを推奨します。
とはいうものの、いずれiPhoneもUSB−Cケーブルを採用することになるのでしょうね。
Appleもケーブル自体やMFi認証のライセンス収入も、馬鹿にならないくらいあると思うので強く言えませんが、早いところMacBook系のようにUSB−Cケーブル化して欲しいものだと思います。
逆にMacBook系は、Magsafe(マグネット固着式の電源ケーブル)に戻してくれると、とても嬉しいんですが・・(^_^;)
レンズ数は増えていないもののイン/アウト両カメラの性能が向上
背面にあるカメラ数こそ最新のiPhone11のように複眼ではありませんが、学習機能やA13 Bionicチップの恩恵によりインカメラでのポートレートモードが実現されています。
またFace IDや深度測定に必要なTruenDepthカメラは非搭載であるものの、これまたA13 Bionicチップを生かしてスマートHDRへの対応など、カメラの全体性能はiPhone8とは別物レベルに向上するようです。
ただ、iPhoneのカメラ性能にはiPhone4時代から疑いを持つことはなかったものの、やはりノッチありX系のカメラの方が性能が高いと感じるので、X系から戻るユーザは不満を感じることがあるかもしれません。
と、XSの次に狙いを定めた自分を想定しておりますが・・。
新型iPhone SEはAppleの2つのジレンマを解消するかもしれない
Appleは2018年の第4四半期から4期連続でiPhone販売台数減を経てきましたが、昨年(2019年)の第4四半期(9月ー12月)に前年同期比で増加に転じています。
これに大きく寄与したのが、iPhone XRやら値下げしたiPhone11など全体的な高価格路線(=高級化路線?)の停止というか一旦停止と云われています。
実際のところスマホもコモディティ化してきて、今までのような大きな幅での機能の進化は望めません。
そこへもってきてサムスン、ファーウエイ、シャミオといった低価格で同等性能のAndroid勢にシェアを奪われ続けていくのが、明白だという判断もあったことでしょう。
最近のAppleが持つ顧客の(やや)減少と、解決策たる低価格製品投入によるユーザ単価の低下・利益減少というジレンマを、新型iPhone SEが解消するかもしれません。
安価な新型iPhone SEが高級路線を敬遠した顧客を呼び戻す
と考えるのは、私自身がときを同じくする2018年にスマホ買い替えで考えたのが、AppleのiPhoneにおける「高級化路線」への疑問でした。
買い替えのタイミングにおける当時のiPhoneX系は非常に魅力的な性能で、できれば購入したいものだなと思ったものですが、価格を見て考え込んでしまいました。
エントリーモデルよりもストレージ容量を上げるのが常なのですが、それをやると優に100,000円の大台を越えてしまうんですよね。

Maxにして256GBとか512GBといった最大の容量を選ぼうとすると、MacBookProやMacBook Airのまずまずのモデルが買えてしまうような値段になってしまうわけで。
いやー、ケチケチマカーを名乗る自分にとって、それキツイわーと強く思ったものです。
その値段を見たら、値段に見合ったことをその新しいiPhoneでやるのだろうかと考え直しました。
電話してメールチェックしてブラウザで情報チェック、加えてカメラで仕事もプライベートも撮影。
カメラは使うけれど、本格的な撮影なら一眼レフを使えばいいので高性能カメラは必須でもない。
マップのナビは便利だけど、あとアプリでやることといったらせいぜいニュースチェックとゲームくらい。
これらはAndroidの機種でも代用が可能。
高度なグラフィックを必要とするゲームならその価値はあるのだろうけど、そのスマホハードのAndroidとの差額は最大で50,000円弱。
果たしてせいぜい二年間のゲームのために、その50,000円程度を出して然るべきなのだろうか?
と考えたのは、私だけではなかったことと思います。
そんなユーザを振り向かせたり回帰させたりする引きの強さが、今回の新型iPhone SEにはあると思うのです。
新型iPhone SEで広げた顧客層がクラウドサービスで利益を生む
とまあMacBook Airに引き続いてケチケチユーザの気持ちを明るくしてくれたiPhone SEなのですが、先述したようにユーザ数を取り戻し、増やしていくといいことが待っています。
それはiPhone SEユーザ=iOSユーザが必ず使うアプリ、クラウドサービスのユーザ数の増加です。
そして低価格製品投入に伴うユーザ単価の減少を補う、利益の創出。
サブスクリプションが一般化してきたらユーザ数がものを言う
言葉だけだと馴染みがありませんが、Yahoo!ジャパンのヤフオクプレミアム会員やAmazonプライム、あるいはAdobeのCC、Microsoft365といったところを出すと分かりやすいですが、月額・年額ベースの定額支払いによるクラウド(を中心とした)サービス提供のことを指します。
NetFlixやHulu、日経のWeb購読なんかもサブスクリプションのサービスですね

※Amazonプライムについては、過去に記事化していますので、よろしければ下記リンクからご覧ください(何故かドヤ顔)ませ

このサブスクリプションのとくにクラウドサービスについては、ユーザ数を増やせば増やすほど利益が生まれる仕組みです。
機器類・ハードウエアを作って売るよりも、定型的で魅力的なサービスを生み出せさえすれば、ユーザ数を増やせば増やすほど利益を出していくことが可能になります。
上には挙げませんでしたが、Appleにはこのサブスクリプション形式の優良なクラウドサービスがあります。
Apple MusicにApple TV+それからApple Arcade
まずはじめにiCloudがある・・
なんて具合に語れそうなAppleのクラウドサービス。
iTunesの音楽ダウンロードを経て通信インフラの進化に伴い、コンテンツのストリーミング配信がAppleに限らず全体の大きな潮流になっています。
そういった流れを汲んだ、いま旬で利益を生むであろう=ユーザにとって魅力的なAppleのサブスクリプションといえば、下記の3つといえるでしょう。
すでに十分知名度が高くユーザ数も多い音楽配信サービス。

自社オリジナル動画コンテンツを配信するということだけれど、コンテンツはまだこれからといったところ

月額600円で100本以上の広告や課金なしのゲームサービス。

すでにフォーマットが定まってしまった感のあるモバイル端末でプレイするゲームアプリですが、このApple Arcadeはそれとはまったく違うアプローチでゲームを提供する点で、注目しています。
クリエイターにメリットが生まれるApple Arcadeに期待
定額制のゲームといっただけではピンと来ないかもしれませんが、Apple Arcadeは最初に月額分を払っていくのでプレイを進めていく上で課金されることはない仕組みになっています。
ユーザにお金を使わせることを目的とするのが、一般のスマホアプリの利益の出し方です。
それとは真逆の形になるのですが、このApple Arcadeの仕組みは製作者からすると非常にありがたく、ゲームのプロットやクオリティを高める方向へ集中できるというメリットがあります。
このメリットは少なからず受益者=お金を払うユーザ側にとっても、メリットが生じると考えています。
毎日アクセスさせて何らかの強化をさせて課金につなげるスキームと言うかストーリーは、もはや定型化どころか陳腐化している感のある従来のスマホゲームとは一線を画すような、新しいゲームが生まれてくるんじゃないかという期待を持ちます。
もっとも、まだ登録プログラムが100であるところを見ても分かるように、Apple Arcadeのフォーマットに載る敷居が高くなってしまうことは容易に想像がつきます。
その裏を返せば、一定のクオリティも担保されることにもなりますので、ユーザにとっては好ましいことではありますが・・。
予約受付中のiPhone SEお届けは4月下旬から
そういえばこのiPhone SEはApple Store実店舗の休業に伴い、4月中は店頭受取りができない状態です。
Appleからの商品発送は、4月28日以降となっています。
一方で、既存3キャリアの発売は新型コロナウイルスの影響により、店頭発売は4月を越して5月11日になる見込みです。

と・・最後の最後は激しくどうでもいいニュースでしたが、今回は新型iPhone SEの発表とその意義について記事化しました。
長文にお付き合いありがとうございました。
(了)