支VS 米のちょっとした論争。
最近までバチバチやってました。
だけど、そろそろ収拾に向かっていると言っていいのかな。
ウイルスの方もこれくらい早く終息して欲しいものです。
申し遅れましたが、COVID-19をめぐる発生源論争のことです。
COVID-19の発生源に関する米中の論争というか牽制合戦
中国と米国のどっちが発生源かというところで、米国高官が非難したら前者が・・
などとわけの分からないことを言い出して、報道官VS高官の言い合いがスタート。
そこにトランプ大統領も参戦して、ややヒートアップ気味に。
3月下旬のときなんか、戦争にでもなるんじゃないかとちょっと心配になるくらいでした。
加えて米国の感染者・死者とも日増しに増えていくばかりで、トランプ大統領の舌鋒はさらに鋭くなっていました。
(わざわざ)中国発表の感染者数と死者数の数字は信用できない、などと指摘もしていましたっけ。
これに至っては正直、大統領が全人類の共通理解をわざわざ言うこともないんじゃないかとも思いましたが、これくらいしっかり言っておかないと情報戦に負けるのを知っているからなんでしょうね。
その点でいえば我が日本は・・。
国民のマスクのために鉾を収めた? トランプ大統領
だけどまあ、なんだかんだ言っても医療用も一般市民用も含めて、マスクの一大生産国である中国(様)とやり合い続けるのは得策ではないと考えたのでしょう。
増加する一方の感染者から少しでも国民を守るために、トランプ大統領が鉾を収めた感もあります。
最近に至っては、3M経由とはいえ中国生産のマスクを大量に輸入することが決定しています。
カナダほか周辺諸国への輸出禁止などという、他国からすればちょっとヒンシュクな措置も発表しています。
日本のマスコミなんかがさかんに攻撃する「トランプ特性」ですが、(よくいえば)国内のことを第一に考えて行動するトランプ大統領のこういうところが、米国民の支持を受けるゆえんなんでしょうね、きっと。
他国に大事なものの生産を頼り切る危険性
それにしても、このウイルス騒動が収まったときのチャイナ・エグジットがどこまで行われるのか、ちょっと気になります。
各国の指導者が今回の未曾有の危機が引き起こしたとくに衛生、経済、流通面でのマイナスをどう評価して、どう行動するのか。
衛生面でいえば、製品を構成するユニットの完成を阻害する小さな部品の欠品、国民の感染予防のためのマスク。
肝心なものを、仮想敵国ともいえる他国に委ねる危険性も鑑みていることでしょう。
振り返って日本は米国よりも依存度が高く、その忖度・配慮のせいで国内感染が始まったともいえるので、その可能性を真剣に考えないといけないのではないかと思う次第です。
サプライチェーンの再構築、基幹製品・部品類の国内生産回帰など視野に入れるべきなんだろうとも思います。
チャイナ・エグジットは物価の上昇をもたらすでしょうが、中長期的には雇用も賃金の上昇も見込めるはず。
・・なんてことは望めないのかな。
ウイルスに国・民族名をつけるのは差別?
話を戻して・・。
数日前のことですが、米国の中国系アスリートでオリンピックの銀メダルホルダーであるミシェル・クワン氏が、COVID-19を「中国ウイルス」呼ばわりすることは人種差別であるとする旨のコメントを発しています。
だけどまあ、ちょっとこの記事のタイトルにつられちゃった側面もあるのかな。
おおむねまっとうなことをおっしゃられていますし、大筋で賛成します。
米国におけるアジア系人種への差別って、結構ひどいものがあることは知っていますし、コミュニティにおける分断の要素さえはらんでもいます。
トランプ大統領の中国非難の文脈においては、たしかに”中国ウイルス”という呼称は危うさを含んでいます。
だとしたらスペイン@邪や日本@炎はどうなるんだろ
だけど・・なんですよね。
国や地域をウイルスや疾病につけるのが差別であるのなら、スペイン風邪や日本脳炎はどうなるんでしょう?
スペイン風邪の発生は米国のようですが、スペイン王室の罹患が大々的に報じられたからこんな名前が定着してしまったようですし・・
日本脳炎は、アジア各地で症例は見られていて、日本での臨床事例が報告されたところからこう呼ばれるようになったということです。
決して無理なネーミングではないと思いますが、こっちがよくてそっちはダメみたいなことになりませんかね。
などと言いつつ、COVID-19を積極的に使っているわけですが。
疾病に地域名をつけるのが差別表現とはいえない
フラットモードになってみますと、過去の準パンデミック級以上の疾病には地域・国名がつけられたものが結構あります。
専門家でもなんでもありませんが、疾病やウイルスの正式名称にはコードネームのようなCOVID-19的なネーミングのものが多いと感じています。
ただ、こういったコードネームというか型番的な名称では一般人には分かりにくく、そもそもが伝わりにくい面があります。
これを緩和〜伝わりやすくする意味合いで、地域名なり発見者なりの名称がつけられるものと解釈しています。
インターネットの世界に置き換えるなら、IPアドレスとドメインの関係といえるかもしれません。
過去の多地域感染した疾病をまとめてみる
まだあるとは思いますが、記憶にある地域名つきの疾病・ウイルス類を列挙してみました。
名前がついたものは今回の趣旨から外れますが、これは結構あるはずですよね。
【過去に発生した多地域感染の主な疾病の一覧(ケチケチマカー記憶の範囲)】
疾病名 \プロファイル | 発生地・分布地 | 発生年代 | 疾病概要 |
---|---|---|---|
x)フランス病(=梅毒) | ー | ※18-19世紀頃 | ドイツ人による蔑称 |
x)ナポリ病(=梅毒) | ー | ※19世紀頃 | フランス人による蔑称 |
南米出血熱 | 南米大陸の数カ国 | 20世紀 | 体調不良・出血・神経障害等 |
クリミア・コンゴ出血熱 | ユーラシア・アフリカ の南部地域 |
20世紀 | 発熱・頭痛ほか 重症時に消化器出血 |
西ナイル熱 | ウガンダで初確認 | 20-21世紀 | 風邪に近い症状・高齢者重症化 |
中東呼吸器症候群(MERS) | サウジアラビアで 初感染報告 |
20-21世紀 | 急性の呼吸系不全、 致死率比較的高し |
*)x印は悪例として掲示
この他に日本住血吸虫(これは怖い)とかデング熱の派生のアルゼンチン熱とか、20年くらい前の韓国型出血熱 なんてのもありましたかね。
名前の場合の一例をあげると、脳障害を起こすクロイトフェルツ・ヤコブ病(=プリオン病、狂牛病)がありました。ウイルスなんかは発見者の名前が普通につけられるので多いはず。
梅毒をフランス病とかナポリ病とか呼ぶのがおかしいことに異論をはさみませんが、他のは別に自然で一般的な印象を受けますし、意図的な蔑称には思えません。
あえて地域・国名をネーミングから外すのは却って不自然
地域・国名を疾病・ウイルス名に冠するのはそう不自然なことではないし、場合によっては発生や感染のプロファイルを物語る役目も果たすので、場合によってはむしろ自然なことではないかと思うのです。
これはミシェル/クワンさんの発言に対してではなく、COVID-19の発生国と思しき国の態度に対してですが、そういった自然発生的である程度周知が渡り、コンセンサスが得られたところへ「差別だ」という殺し文句で外すのは却って不自然です。
むしろ、そこに何らかの目的を感じ取ってしまうのではないでしょうか。
SARSは「中国肺炎}と呼ばれていたようですが、今回のCOVID-19も「中国ウイルス」や「武漢肺炎」などと呼ぶのに、違和感をまったく覚えません。
映像をはじめとした記録に残り、何がどんな状況で起こったのか後の人に想起させることができます。
積極的に「中国ウイルス」や「武漢肺炎」と呼ぶ意思はありませんが、そう呼ぶことに対して否定をすることはないと思います。
地名に先人からの何らかのメッセージが込められているのと同じで、疾病名にもその何らかのプロファイルが情報の受け手に伝わる要素を込めておくのが本来であれば好ましいと思うのです。
差別は疑いなくいけませんが、恣意的な情報要素の打ち消し・排除はこの疾病の発生時に行われた大規模な隠蔽と同様に、後々に禍根を生みかねないからです。
と、今回はウイルスに地名を入れるのは別に差別ではないんじゃないかという趣旨の記事でした。
(了)